日本の建築基準法が換気に対して無関心なため、シックハウスの問題が生じてきたわけですが、これについては欧米では早くから取り組んでいます。海外ではシックハウスという言葉はあまり一般的ではなく、同じ意味のことを、シックビルディング症候群(SickBuildingsyndrome)といいます。欧米では、一九七〇年代前半に起こったオイルショックに対応するため、ビルの換気量を引き下げた結果、各地の新設ビルで頭痛やノドの痛み、皮膚の乾燥感など、体の不調を訴える人が相次いだことから、この言葉が生まれました。ちなみに、アメリカでは一九七三年に、ビルの換気量の基準値を一時間当たり八・五・三と制定しました。しかし、一九八九年に、この基準値は二五・五平方メートルに改訂され、現在に至っています。同じ時期に、日本ではビル管理法によって、三〇〇〇平方メートル以上のオフィスビル室内の二酸化炭素濃度は一〇〇〇ppmに抑えなければならないと定められていました。この基準を守るためには、一時間一人当たり二五〜三〇平方メートルの換気量が必要になります。ですから、日本のビルについては、シックビル症候群の問題は起こらずにすんだのです。しかし、欧米ではこのシックビル問題を契機として、換気や化学物質と健康について科学されていったのに対して、日本の住宅はすっかり置き去りになってしまい、シックハウスと化してしまったのです。
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