スクラップ&ビルドのおわり

2011.09.30

日本の住宅建設は、これまでスクラップ&ビルドを基準に進められてきました。「建てては壊し」「壊しては建てる」ことの繰り返しでした。しかし、ここにきてようやくこうした日本人の住宅観から脱却すべきではないか、という機運が出てきました。アメリカに遅れること七〇年、日本でも「住宅の資産価値」を問い直そうという動きが生まれてきたのです。バブル経済が「一場の夢」に終わり、不況風が吹きまくる日本社会にあって、スクラップ&ビルドが許されなくなったという事情もあります。その一つの表れとして、たとえばCHS(センチュリー・ハウジング・システム)が挙げられます。これは「住宅の耐久年数を評価する基準」を設けたもので、たとえば「CHS60型」(五〇〜一〇〇年もつ家)、「CHS50型」(四〇〜五〇年もつ家)などがあり、当然「CHS60型」のほうが「CHS50型」よりも「耐久」についての基準も厳しくなっています。あるいは「住宅の品質確保の促進などに関する法律」、いわゆる住宅の品質確保法の柱となっている「住宅性能表示制度」もその表れといえます。この制度は、従来、購入者にわかりにくかった住宅の性能を、等級や数値など客観的な「物差し」で評価できるようにしたもので、さらにそれを第三者機関が公正に評価できるようにした制度です。これらの制度の目的が、第一に購入者が安心して良質な住宅を取得できる体制を整えるためのものであることはいうまでもありません。しかし、同時に日本がこれから迎える「住宅長寿時代」の実現に向けての条件整備でもあるのです。このように住宅建設を取り巻く状況が変わってくると、購入者にもそれまでの「住宅観」を変えることが求められます。「家の価値観に対するスタンス」を改めるように求められるのです。今までのように新築や購入の際に全力投入する、まるで「住宅を手に入れること」が最大の人生の目的であるかのような「硬直した姿勢」はやめにして、長い視点で住宅を捉え直すことを求められるのです。こうした時代の変化を私たち住宅を供給する側も肝に銘じなければいけないと思います。「最高の家」を造るために力を尽くすことが悪いと言っているのではありません。車にこだわる人が、シートの革張り一枚、ハンドル一つに気を使うのと同様、住宅のデザインや空間などに強いこだわりを持つのは大いに結構なのです。ただ車でもメンテナンスが大切なように、住宅を購入する場合も、最初に資金のすべてを注ぎ込む時代ではなくなったと言いたいのです。では、「住宅長寿時代」における購入者の「住まいづくり」は、どうあるべきなのでしょうか。

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